(2017年10月18日)
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安倍晋三内閣総理大臣 殿
小野寺五典防衛大臣 殿
藤代誠近畿中部防衛局長 殿
抗議申し入れ書
米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会
代表世話人 服部良一 大湾宗則
朝鮮半島・東アジアでは、米国と朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の軍事的緊張が高まり、戦争に至る危険性が強まってきています。米国のトランプ政権は、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と公言し、朝鮮への軍事力の行使を否定していません。そして、巨大な米韓合同軍事演習をくり返し、在韓米軍へのTHAADミサイルの配備を強行しました。しかし、武力で平和はつくれません。米国・韓国・日本による軍事的威嚇や制裁は、朝鮮を核開発・弾道ミサイル開発に追いやってきただけでした。東アジアはいま、いつ戦争に至っても不思議ではない状況にあります。
もし東アジアで戦争がおこるならば、日本を含む東アジアのぼう大な民衆が犠牲となることは明らかです。私たちは、東アジアでの戦争に反対し、東アジアの平和への転換点をつくりだしていかねばなりません。しかし、日本政府は「北朝鮮の脅威」を煽りたて、米韓合同軍事演習に実質的に参加し、朝鮮への制裁の強化を推進するばかりで、積極的に現在の戦争の危機を打開しようと努力しているとは思えません。
東アジアにおける戦争の危機の根底には、1950年に開始された朝鮮戦争が休戦状態にあるだけで、戦争を終結させるための平和協定すら締結されていないことがあります。それだけではなく、米国は朝鮮半島への新たな軍備の持ち込みを禁じた朝鮮戦争休戦協定(1953年発効)の第13節(d)を一方的に破棄し、中国人民解放軍が撤退した後も、唯一の外国軍隊である米軍の韓国駐留を継続してきました。そして、朝鮮が朝鮮戦争を終結させるための平和協定の締結を要求しても拒否しつづけてきました。
東アジアの平和のためにいま必要なことは、米日韓による合同軍事演習と朝鮮による核開発・弾道ミサイル開発の双方を停止し、米朝の直接対話や六カ国協議の再開、平和協定の締結をもって朝鮮戦争を終結させることです。そして、すべての外国軍隊を朝鮮半島から撤退させ、南北朝鮮の自主的平和統一を促進していくことです。このような立場から、私たちは以下のことを日本政府に要求します。
(1) フォール・イーグルやキー・リゾルブなどの米韓合同軍事演習を中止し、これらの合同軍事演習に自衛隊を参加させないこと。
(2) 日本政府の朝鮮敵視政策を転換させ、朝鮮への制裁を中止すること。日朝平壌宣言にもとづき、日朝国交正常化を行うこと。
(3) 米朝の直接対話や六カ国協議の再開を促進し、朝鮮戦争平和協定の締結のために努力すること。
(4) 辺野古新基地建設など、米軍・自衛隊の海外への出撃拠点となる基地の新設・強化を中止すること。米国のミサイル防衛戦略の拠点となる米軍Xバンドレーダー基地を撤去すること。
2017年10月18日
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安倍晋三内閣総理大臣殿
小野寺五典防衛大臣殿
藤代誠近畿中部防衛局長殿
質問書
米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会
代表世話人 服部良一 大湾宗則
以下の質問への回答を要請します。
(1) 米軍経ケ岬通信所に駐留する米軍人と米軍属の人数は、基地の運用開始時に何人で、現在何人なのか。
(2) 経ケ岬通信所の司令官は、初代がジェイソン・オルブライト少佐、次がサラ・カルデナス少佐であったが、現在はアントン・マクダフィー大尉となっている。司令官の階級が少佐から大尉に下がっていることは、なぜなのか。経ケ岬通信所の重要性が小さくなったということなのか。
(3) 経ケ岬通信所の二期工事は、いつ着工されるのか。二期工事の工程および建設する建物などの概要を明らかにしてもらいたい。二期工事の終了後は、駐留する米軍人・軍属は全員が基地内に集団居住するのか。
(4) 米軍人・軍属による交通事故対策として、安全運転講習が実施されてきた。しかし、この講習を受けないままに運転し、事故をおこした場合がある。この講習を受けていない軍人・軍属については運転を禁止するべきだが、防衛省は米軍に対してどのように要求してきたのか。
(5) 基地の騒音対策として、関西電力から商用電力を導入することが計画されてきた。しかし、当初の計画よりも大幅に遅れている。何が原因なのか、そしていつ商用電力の導入が実施されるのか。基地からの騒音は、現在も住民を苦しめている。商用電力の導入までの間、追加の騒音対策をどうするのか。
(6) 3万3000ボルトの高圧電線の敷設にともない、住民の電磁波による健康被害への不安が生み出されている。防衛省はこの事態をどう考え、どう解決しようとしているのか。
(7) 経ケ岬通信所の建設にともない、米軍基地に隣接する航空自衛隊経ケ岬分屯基地の拡張・増改築が実施され、経ケ岬分屯基地は以前よりもはるかに規模が大きくなった。経ケ岬分屯基地の役割・機能について明らかにし、拡張・増改築によって新たに付け加えられた役割・機能が何なのかを明らかにされたい。また、経ケ岬分屯基地に勤務する自衛隊員は、分屯基地の拡張・増改築にともない増員されるのか。
(8) 経ケ岬通信所と航空自衛隊経ケ岬分屯基地の連携関係はどうなっているのか。経ケ岬分屯基地は、自衛隊と米軍の共同使用施設とされているが、米軍は具体的にはどのように経ケ岬分屯基地を使用してきたのか。
(9) 経ケ岬通信所に隣接する三角地にまで米軍基地を拡張する計画がある。その理由が何であれ、基地の新規拡張は許されない。米軍基地建設にあたって、防衛省は基地を拡張することはないと約束していた。この約束をなぜ踏みにじるのか。
(10) 穴文珠の上のトイレは撤去されたが、トイレの土台の部分を含めた完全撤去には至っていない。いつまでに完全撤去されるのか。
(11) 防衛省は、イージス・アショアの自衛隊への配備を予算化しているが、どこに配備する予定なのか。京丹後に配備する可能性もあるのか。
(12) 経ケ岬通信所の米軍人・軍属の実弾射撃訓練が自衛隊福知山射撃場に移設されたが、これまでの射撃訓練の実施日および内容を明らかにされたい。また、射撃訓練の実施日を事前に明らかにできないのか。
(13) 防衛省は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)からのミサイル発射時のJアラートによる警報、小中学校の休校措置、公共交通機関の停止などを指示し、避難訓練を推奨してきた。しかし、Jアラートによる警報は早くてもミサイル発射の約4分後であり、ミサイルは約7分で日本に飛来する。したがって、上記のような措置は実際にはほとんど意味がないのではないか。
(14) 防衛省は、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)からの弾道ミサイルが日本に飛来した時には、イージス艦に搭載するSM—3および日本各地に配備するPAC—3によって迎撃するとしている。しかし、日本に向けて弾道ミサイルが発射されるような全面戦争がアメリカと朝鮮の間で勃発するならば、日本を含む東アジア諸国の膨大な民衆が犠牲になることは明らかである。いま日本政府として何よりもやるべきことは、アメリカと朝鮮の戦争を回避するために最大限の外交的努力を尽くすことではないのか。
(15) 現在の東アジアの軍事的緊張の根底には、1950年に開始された朝鮮戦争が休戦状態にあるだけで、戦争を終結させる平和協定も結ばれていないことがある。東アジアにおける戦争を回避するために、アメリカと朝鮮の直接交渉や六カ国協議の再開、朝鮮戦争の平和協定の締結を促進していくことが必要だと考えるが、日本政府の見解を明らかにされたい。
2017年10月18日
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