■申入書2019 

 

2019年9月12日 京丹後市長あて

申し入れ書

 

2019年6月18日 京丹後市長あて

申し入れ書

 

2019年5月16日 総理/防衛大臣/近畿中部防衛局あて

抗議・申し入れ書

 

2019年4月26日 京都府知事あて

(申し入れ書)

 

2019年3月11日 京丹後市長あて

申し入れ書

 

 

 

三崎政直 京丹後市長 様

 

抗議申し入れ書

2019年12月10日

 

          米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会

          共同代表 大湾宗則 白井美喜子 上岡修 仲尾宏 瀧川順朗

          連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾宗則方

          TEL/FAX 075-467-4437

 

 昨年から今年にかけて、米軍・防衛省はこれまでの約束を次々と反故にし、住民の安全・安心を脅かしてきました。京丹後市は、2013年9月19日の基地受け入れ表明にあたって、「住民の安全・安心の確保」が基地の受け入れの大前提だとしてきましたが、まさにその大前提が崩壊するような事態が進行しています。しかし、京丹後市はそのような事態を容認しているかのような態度をとってきました。私たちはこれに厳しく抗議し、基地受け入れの大前提が崩壊した以上、基地受け入れ表明を撤回せざるをえないことを明らかにするように要請します。とりわけ、この一年間に明らかになった以下の事態について、京丹後市としての明確な態度を明らかにするように要求します。

 

 

1.防衛省は、昨年2月4日の事故の報告を最後として一年余にわたって米軍関係者の交通事故の報告を停止し、2019年3月19日の第19回安全・安心対策連絡会(安安連)において「今後は重大事故を除いて件数だけ報告する」と突如表明した。岩屋防衛相の国会答弁によれば、それは米軍の要請にもとづくもので、「重大事故であるかどうかの判断は第一義的に米軍が行う」とのことであり、さらに事故の報告について「明確な合意が存在したとは承知していない」と述べた。それは、2014年12月8日の第二回安安連における近畿中部防衛局桝賀企画部長の「知りえた情報はただちに関係自治体に通知する」という約束、そして以降の安安連における「加害・被害を問わず事故の概要を速やかに報告する」という表明を否定するものである。京丹後市として防衛省の約束破りに抗議し、すべの事故内容の報告を継続することを要求すべきである。

 

2.この件をめぐって、安安連に出席する京丹後市の梅田副市長は「一定理解できる」と表明し、直接話がしたいとする住民との面談も拒否した。住民の安全・安心を確保することを責務とする京丹後市の対応としてはありえないものである。日米地位協定によって米軍関係者に特権的な地位が保障されているもとで、交通事故の詳細な内容の報告がなければ、米軍関係者の事故の抑止や再発防止を期しがたいことは明らかである。京丹後市として梅田副市長の表明を撤回し、住民説明会の開催など住民の声としっかりと向き合うべきである。

 

3.さらに10月28日の国会でのヒアリングにおいて、防衛省はそもそも「事故の概要を速やかに報告する」のは2014年12月8日の第二回安安連で「当分の間」と説明したものだと突然表明した。すなわち、「当分の間」が過ぎたので「事故の概要の報告」は終了したと言うのだ。このような説明はこれまで行われたことがないもので、到底納得できるものではない。京丹後市として、防衛省による「事故の概要の報告」の約束が「当分の間」に限定されたものだとこれまでから理解してきたのか。また、このような説明を了解しているのかどうか明らかにされたい。

 

4.7月11日の米軍の訓練において、迷彩服の米兵が基地のゲートから外側の住民生活区域に銃口を向ける訓練を実施していたと地元住民が明らかにした。宇川連合区の山下英明会長はこの件を安安連22で取り上げ、「住民が不安を抱かないよう配慮してほしい」と申し入れた。米軍が住民に銃口を向けることなど、たとえ訓練であったとしても絶対に許されないことである。京丹後市として、二度とこのような事態が発生しないように防衛省に厳重に抗議するつもりはあるのか。

 

5.昨年4月に本格的に着工された基地建設二期工事は、平日の日中だけという原則にもかかわらず、土曜工事が恒常化してきた。さらに最近では、日曜工事までが実施されている。米軍・防衛省は、工事が遅れていることを理由に居直り、約束破りの土曜工事・日曜工事を正当化しようとしている。しかし、工事が遅れているのは米軍・防衛省の側の事情であって、約束破りを正当化できることではない。京丹後市として土曜工事・日曜工事を実施しないように厳しく申し入れるべきである。

 

6.11月28日・29日、石川県の小松基地から飛来した航空自衛隊のブラックホークと呼ばれるヘリコプター・UH60が、自衛隊のヘリポートを使って40分間にわたって離着陸訓練を実施し、尾和や袖志ではすさまじい爆音が鳴り響いた。航空自衛隊の経ケ岬分屯地はそもそもレーダー基地であり、ブラックホークの離着陸訓練は経ケ岬分屯地の基地機能の拡大と言えるものである。京丹後市として、このような住民や地方自治体の了解なしの基地機能の拡張に厳しく抗議すべきである。

 

7.11月18日から21日にかけて、日米共同訓練として基地防護訓練が実施された。米軍基地建設にあたって、「基地が攻撃の対象になるのではないか」という住民からの当然の疑問に対して、防衛省は「基地は防衛的なものなので攻撃の対象になることはない」と説明してきた。しかし、このような基地防護訓練が実施されるということは、米軍・防衛省は基地が攻撃されるという事態を想定していることを示すものである。基地は孤立して存在しているのではない。経ケ岬の米軍基地は、中国や朝鮮民主主義人民共和国を仮想的とした日米両軍の東アジア戦略、ミサイル防衛戦略の拠点であり、攻撃対象となることは避けられない。ここでも、京丹後市が米軍基地建設を受け入れた大前提が崩れている。戦争のための米軍基地と住民の安全・安心は両立しない。私たちは、あらためて米軍基地の撤去を要求する。

 

 

 

 

 


 

 

 

三崎政直 京丹後市長 様

 

申し入れ書

2019年9月12日

 

          米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会

          共同代表 大湾宗則 白井美喜子 上岡修 仲尾宏 瀧川順朗

          連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾宗則方

          TEL/FAX 075-467-4437

 

 

 私たちは、本年6月18日に京丹後市に対して7項目の申し入れ書を提出し、その回答を9月27日に受けることになっている。それにあたって、6月18日付申し入れ書の1.および2.に関連して以下の諸点を申し入れ事項に追加したいので、6月18日付の申し入れ書の諸点とあわせて9月27日に京丹後市からの回答をいただきたい。

 

1.3月19日の第19回安安連での防衛省からの通告以降、米軍関係者の交通事故についての安安連への報告は実際に事故件数だけの報告となっている。このことは、第19回安安連での防衛省の通告に沿う形で、米軍関係者の交通事故の報告のやり方がすでに変更されたということか。第19回安安連での小倉宇川連合区長(当時)のこれまでのような報告を継続すべきだとの発言、地元の住民団体である「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」の緊急質問状の提出、京丹後市議会での議論などが行われている最中にもかかわらず、防衛省の通告に沿う形で交通事故の報告が一方的に変更され、既成事実化されてきていることは住民無視の暴挙である。この点についての京丹後市としての認識を明らかにされたい。

 

2.三崎市長は6月28日の記者会見で「梅田副市長からは『これまで通りの適切な報告が前提で、防衛省の方針転換を容認したことはない』との報告を受けている」(毎日新聞丹後版)と表明した。京丹後市は、「重大事故を除いて件数だけを報告する」という防衛省の新たな方針が「これまで通りの適切な報告」だと認識しているのか。

 

3.防衛省は、「我が国の政府や地方自治体職員が物損や自損の交通事故を起こした場合に、当該事故の具体的な内容等が公表されることは一般的にはなく、これは全国の他の米軍基地でも同様」(第19回安安連)だということを方針変更の理由としている。しかし、京丹後においてこれまで米軍関係者の事故の概要が加害・被害にかかわらず行われてきたのは、基地開設以降の頻発する交通事故に対する住民の不安と憤りがあったからであり、米軍関係者が日米地位協定のもとで特権を保障されてきたからである。防衛省の説明は、方針変更を正当化できるものではない。この点についての京丹後市の認識を明らかにされたい。

 

4.「防衛省の方針転換を容認したことはない」ということであれば、第19回安安連での梅田副市長の「一定理解する」という発言は、容認したという誤解を与えるものであり撤回されるべきである。また、第20回安安連や第21回安安連において、防衛省の通告に沿う形で交通事故の報告が件数だけに変更され、それが既成事実化されてきていることに京丹後市として厳重に抗議し、防衛省の方針転換を撤回するように要求すべきである。なぜそうしないのか、理由を明らかにされたい。今からでも遅くはない。防衛省に抗議し、方針変更の撤回を厳しく求めていただきたい。

 

 

 

三崎政直 京丹後市長 様

 

申し入れ書

2019年6月18日

 

          米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会

          共同代表 大湾宗則 白井美喜子 上岡修 仲尾宏 瀧川順朗

          連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾宗則方

          TEL/FAX 075-467-4437

 

 

 京丹後市におかれては、住民の安全・安心を守り、住民の生活の向上のために日々ご奮闘のことと思います。2013年9月、京丹後市が米軍経ケ岬通信所(Xバンドレーダー基地)を受け入れるにあたって、「住民の安全・安心の確保」が大前提とされたことは周知の通りです。しかし、とりわけ昨年以降、米軍・防衛省がこれまで約束してきたことが次々と破られ、一方的に変更されるという事態が相次いできました。京丹後市やその住民は、決して無条件で米軍基地を受け入れた訳ではありませんでした。この間の事態は、もはや米軍・防衛省が何を約束したとしても信用することなどできないこと、大前提であるはずの「住民の安全・安心の確保」が大きく崩れてきていることを示すものです。私たちは、この事態に抗議し、京丹後市に対して以下のことを申し入れます。

 

1.防衛省は、昨年2月4日の事故の報告を最後として一年余にわたって米軍関係者の交通事故の報告を停止し、2019年3月19日の第19回安全・安心対策連絡会(安安連)において「今後は重大事故を除いて件数だけ報告する」と突如表明した。岩屋防衛相の国会答弁によれば、それは米軍の要請にもとづくもので、「重大事故であるかどうかの判断は第一義的に米軍が行う」とのことであり、さらに事故の報告について「明確な合意が存在したとは承知していない」と述べた。それは、2014年12月8日の第二回安安連における近畿中部防衛局桝賀企画部長の「知りえた情報はただちに関係自治体に通知する」という約束、そして以降の安安連における「加害・被害を問わず事故内容を速やかに報告する」という表明を否定するものである。京丹後市として防衛省の約束破りに抗議し、すべの事故内容の報告を継続することを要求すべきである。

 

2.この件をめぐって、安安連に出席する京丹後市の梅田副市長は「一定理解できる」と表明し、直接話がしたいとする住民との面談も拒否した。住民の安全・安心を確保することを責務とする京丹後市の対応としてはありえないものである。日米地位協定によって米軍関係者に特権的な地位が保障されているもとで、交通事故の詳細な内容の報告がなければ、米軍関係者の事故の抑止や再発防止を期しがたいことは明らかである。去る6月5日の第20回安安連において、宇川連合区長があらためて事故の詳細な報告の継続を要望したように、住民のなかでは不安と怒りの声が広がっている。京丹後市として梅田副市長の表明を撤回し、住民説明会の開催など住民の声としっかりと向き合うべきである。

 

3.米軍基地建設の二期工事について、土日祝日は行わないという事前の防衛省の約束を破って、土曜工事が恒常化してきている。土曜工事は、とりわけ春・秋の観光シーズン、夏の海水浴シーズンにおいては道路の渋滞や交通事故の危険を高める。京丹後市として、あらためて土曜工事の中止を防衛省に要求してもらいたい。

 

4.5月12日から25日まで、米軍基地の発電機が「メンテナンスのため」だとして早朝や深夜も含めて終日稼働するという事態が発生した。その結果、周辺地区ではすさまじい騒音が襲いかかり、住民からの苦情が相次いだ。防衛省は、メンテナンスのために稼働する場合にも周辺を考慮して土日・早朝深夜は避けると説明していたが、米軍は何の事前の住民への説明も無しに発電機の終日の稼働を行った。これもまた明白な約束破りである。二度とこのような事態が発生しないように、京丹後市として文書をもって防衛省に抗議・申し入れをされたい。

 

5.防衛省は基地建設にあたって、「基地は防衛的なものなので攻撃されることはない」と説明してきた。しかし、米軍は鋼鉄製シェルター・防護壁・銃座付き監視塔の建設を計画して基地を要塞化しようとしており、昨年11月には近畿各地の陸上自衛隊を動員した日米合同の基地防御訓練まで実施した。これらの動きは、米軍・防衛省が京丹後の米軍基地が攻撃の対象になることを想定していることを示すものである。米軍基地が攻撃の対象となれば住民の犠牲ははかり知れない。京丹後市として、防衛省がどのように認識しているのかを問い質すべきである。そして、「攻撃されることはない」となお認識しているのであれば、基地の要塞化や自衛隊による基地防御訓練などは直ちに中止するように要求してもらいたい。

 

6.昨年4月27日の板門店での朝鮮南北首脳会談を転機として、戦争の危機にあった東アジアでは新たな平和への流れが生みだされてきた。しかし、日本政府は新防衛大綱・中期防衛力整備計画に示されているように、自衛隊による空母や敵基地攻撃能力の保持など大軍拡の道を進んでいる。とりわけミサイル防衛の領域では、イージスアショアの配備計画、南西諸島への自衛隊ミサイル防衛部隊の配備などがおし進められ、青森県・車力ではすでにPAC3が配備されている。このようななかで、京丹後にもPAC3の配備などが計画されていくことも十分に考えられる。それは、米軍Xバンドレーダー基地をさらに近畿地方北部の軍事拠点として強化することになる。京丹後市として、防衛省に対してPAC3配備計画の有無を問いただしてもらいたい。

 

7.昨年7月27日、全国知事会は「日米地位協定の抜本的な見直しの提言」を全会一致で採択した。日米地位協定によって米軍に特権的な地位が保障され、事実上の治外法権の存在となっていることが、基地による住民の安全・安心の侵害の基礎にあることは明らかである。この提言を受けて、2019年5月20日段階で7道府県議会を含む123地方議会で日米地位協定の改定・見直しを求める意見書が採択されている。京丹後市としても、米軍基地が存在する自治体として、日本政府に対して日米地位協定の抜本的な改定を行うように要望してもらいたい。

 

 

 

 

(2019年5月16日)

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安倍 晋三 内閣総理大臣さま

岩屋 毅  防衛大臣さま

島  眞哉 近畿中部防衛局長さま

 

抗議・申し入れ書

2019年5月16日

 

                米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会

                代表世話人 大湾宗則 服部良一

                連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾宗則方

                電話/FAX 075-467-4437

 

 

 京丹後市の米軍経ケ岬通信所(Xバンドレーダー基地)開設以来、米軍人・軍属による交通事故の頻発は、周辺の住民に大きな不安を与えてきた。これに対して防衛省は、「加害・被害を問わず事故内容を報告する」と約束し、これまで事故発生直後に日時、場所、加害か被害かも含めて具体的な内容が報告され、「米軍経ケ岬通信所安全・安心対策連絡会」(安安連)でも文書で事故内容の報告がなされてきた。

 

 しかし、昨年2月4日の事故を最後に、防衛省は事故内容の報告を突然停止した。そればかりか、本年3月19日の第19回安安連において近畿中部防衛局の本間克哉管理部長はこれまでの約束を撤回し、「今後は飲酒運転などによる重大な事故を除き発生件数のみを報告する」と表明した。さらに、3月28日の参議院安保・外交委員会で、岩屋防衛相はこれが米軍からの要請にもとづくものであり、「重大な事故」であるかどうかの判断は「第一義的に米軍が行う」と答弁した。そして、「事故の報告について明確な合意があったとは承知していない」と述べた。

 

 私たちは、この3月19日の近畿中部防衛局の表明に厳しく抗議し、その撤回を要求する。そして、米軍関係者の交通事故について、速やかにその詳細を報告することを継続するように要求する。岩屋防衛相は、「米軍からの要請」を理由としているが、日米合同委員会でそれに合意してきたのは安倍政権・防衛省である。米軍に責任を転嫁することは許されない。

 

 そもそも事故の報告について明確な合意がないというのは、まったく事実と異なる。2014年12月8日の第3回安安連において、桝賀近畿中部防衛局企画部長(当時)が「今後、知りえた情報はただちに関係自治体に通知する」と約束し、それ以降の安安連においても「加害・被害を問わず事故内容を報告する」と表明してきたことを忘れたと言うのか。そして、住民の求めに応じて安安連において事故の詳細が報告されてきた。近畿中部防衛局の表明は、この約束を公然と反故にしようとするものである。事故の詳細な報告は、米軍関係者による事故を抑止し、再発を防止していくための前提である。防衛局の表明は、住民の安全・安心をさらに脅かすものに他ならない。また、日米地位協定の規定によったとしても、公務中の米軍関係者の事件・事故の第一次裁判権は米軍にあるが、公務中以外の事件・事故の第一次裁判権は日本側にある。にもかかわらず、「重大な事故」であるかどうかは「第一義的に米軍が判断する」として、米軍に判断をすべてゆだねるのはまったく筋が通らない。

 

この間、米軍Xバンドレーダー基地をめぐっては、基地建設にあたって防衛省・米軍が行った約束が次々に破られ、反故にされるという事態が相次いでいる。2018年5月15日には、ドクターヘリの運航時にレーダーが停止しなかったという事件が発生した(不停波問題)。その件について防衛省は、緊急ヘリ運航時に「要請を受ければ米軍レーダーを速やかに停波する」という2014年10月23日の無条件停波の合意を反故にし、「米軍の運用上やむをえない場合を除き停波する」という答弁書を国会に提出した。また、「経ケ岬通信所は防衛的なものなので攻撃の対象にはならない」という当初の説明に反して、米軍は基地を防衛するための鋼鉄製シェルター・防御壁・銃座付き監視塔の設置を計画し、昨年11月には関西各地から自衛隊を動員した基地防護訓練までが実施された。それ以外にも、基地建設二期工事での土曜工事の恒常化、米軍属の集団居住・集団通勤の約束の不履行など、枚挙にいとまがないほどである。今回の事態もまた、そのような防衛省・米軍の約束破りの一環である。こんなことが許されるのであれば、防衛省・米軍が何を約束しても意味がなくなる。

 

 私たちは、あらためて3月19日の近畿中部防衛局の表明の撤回、米軍関係者のすべての事故の詳細な情報の報告を要求する。また、緊急ヘリ運航時の米軍レーダーの無条件停波を約束した2014年10月23日合意の完全な実施を要求する。そして、米軍基地を要塞化する動きに反対する。住民の安全・安心と米軍基地は両立しない。東アジアの平和への流れを強めていくためにも、京丹後の米軍基地は撤去されるべきである。

 

 以上、抗議し申し入れる。

 

 

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質問書       

2019年5月16日

 

① 岩屋防衛相の「事故の報告について明確な合意があったとは承知していない」という答弁はまったく事実に反している。2014年12月8日の第回安安連において、桝賀近畿中部防衛局企画部長(当時)が「今後、知りえた情報はただちに関係自治体に通知する」と約束し、それ以降の安安連においても「加害・被害を問わず事故内容を報告する」と表明してきた。このことは、2014年12月9日の毎日新聞でも報道されている。そして、昨年2月まで住民の求めに応じて事故情報は報告され続けてきた。近畿中部防衛局は、この事実を否定するのか。

 

② このような約束を反故にし、今後は重大な事故を除いて件数だけを報告するという方針変更の理由は何か。米軍からの要請だというのであれば、なぜ防衛省はそれに同意したのか、理由を明らかにされたい。

 

③ 昨年2月4日の事故の報告を最後にして、一年余にわたって事故の報告が停止した理由は何なのか。米軍との協議が必要だったとしても、停止している間も事故は発生し続けていたのであり(京都府警によれば14件)、事故情報の報告は継続すべきだったのではないか。

 

④ 「重大な事故」であるかどうか、「第一義的に米軍が判断する」とする法的な根拠は何なのか。日米地位協定や日米合同委員会でのこれまでの合意の中に根拠となる条項があるのであれば明らかにされたい。

 

⑤ 3月19日の第19回安安連で、宇川連合区長は「事故の具体的な内容がわかることで対策が取れる」と指摘し、これまでと同様にすべての米軍関係者の事故の詳細な報告を求めた。第19回安安連での近畿中部防衛局の表明は、住民に不安感を与え、安心・安全を脅かすものとなっているとは思わないのか。近畿中部防衛局は、このような住民の不安感に真摯に向き合い、住民説明会を開催するべきである。安安連は、非公開で住民の誰でもが参加できる場ではない。住民の誰でもが参加でき、質問や意見を表明できる住民説明会を開催するべきではないのか。

 

⑥ 緊急ヘリの運航時の米軍レーダーの停波について、2014年10月23日合意では「要請を受ければ速やかに米軍レーダーを停波する」とされており、無条件での停波を約束するものとなっている。しかし、2018年7月17日の防衛省の井上哲士参議院議員への回答書では、「米軍の運用上やむをえない場合を除き」とされており、条件付きの停波の約束となっている。ここには明らかに矛盾がある。「米軍の運用上やむをえない場合」には、要請を受けても米軍レーダーが停波しない場合もあるということなのか。

 

⑦ 米軍による鋼鉄製シェルター・防御壁・銃座付き監視塔の建設計画、また自衛隊を動員した基地防護訓練は、京丹後の米軍基地を要塞化するもので到底容認できない。これらの動きは、今後どう進められていくのか説明されたい。また、これらの動きは基地が攻撃対象となることを想定したものではないのか。防衛省は基地建設にあたって、「基地は防衛的なものなので攻撃の対象になることはない」という趣旨の説明を行ってきたが、現在はどのように認識しているのか。

 

⑧ 2018年10月、相模総合補給廠に米陸軍のミサイル防衛の新たな司令部(第38防空砲兵旅団司令部)が設置された。当時の報道では、PAC3を配備する沖縄県・嘉手納基地の部隊、Xバンドレーダーを配備する京都府・経ケ岬と青森県・車力の部隊がその指揮下に編成されたとしている。私たちは、東アジアの軍事的緊張を高めるこのような動きに反対する。今後、この新司令部の指揮下に入る部隊はどうなっていくのか。グアムのTHAAD、韓国・星州に配備中のTHAADもこの指揮下に置かれるのか。また、この司令部が日米両軍の統合司令部へと改編されることもありうるのか。

 

 

 

 

 

 

(2019年4月26日)

 

西脇隆俊京都府知事様

 

          米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会

          共同代表 大湾宗則 白井美喜子 上岡修 仲尾宏 瀧川順朗

          連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾宗則方

          電話/FAX 075-467-4437

 

 

日々のご奮闘に敬意を表します。京丹後市の米軍経ケ岬通信所(Xバンドレーダー基地)開設以来、米軍人・軍属による交通事故の頻発は、周辺の住民に大きな不安を与えてきた。これに対して防衛省は、「加害・被害を問わず事故内容を報告する」と約束し、これまで事故発生直後に日時、場所、加害か被害かも含めて具体的な内容が報告され、「米軍経ケ岬通信所安全・安心対策連絡会」(安安連)でも文書で事故内容の報告がなされてきた。

 

しかし、昨年2月4日の事故を最後に、防衛省は事故内容の報告を突然停止した。そして、本年3月19日の第19回安安連において近畿中部防衛局の本間克哉管理部長は、これまでの約束を撤回し、「今後は飲酒運転などによる重大な事故を除き発生件数のみを報告する」と表明した。本間部長は、その理由について「政府や自治体職員の自損事故の具体的内容は一般的には公表されていない。他の米軍基地でも同様。物損事故の連絡会への報告は今後は控えたい」と説明した。

 

この件について井上哲士参議院議員が3月28日の参議院外交防衛委員会で問いただしたところ、岩屋防衛相は以下のように答弁した。「昨年2月の連絡会以降、米軍から、軽微な事故まですべて報告するのは適当でないとの申し出があり、これを踏まえ、他の地域における事例や、事件事故発生時の通報手続きにかかる日米合同委員会合意との関係を整理したうえで、米側と協議をしてきた。その継続中は報告に時間がかかったが、このほど協議がまとまったので3/19の連絡会でこのような形で報告した」と。そして、「重大な事故」であるかどうかは、「日米合同委員会合意に基づき、第一義的には米軍が判断する」と答弁し、さらに事故の報告について「明確な合意があったとは承知していない」とも述べた。

 

これらはきわめて重大な事態である。米軍からの要請を理由にして、防衛省はこれまでの約束を一方的に破棄し、反故にしたということだ。防衛省は3月19日の表明を直ちに撤回し、米軍関係者の交通事故について「加害・被害を問わず事故内容を報告する」という約束を誠実に実施しなければならない。

 

この間、米軍Xバンドレーダー基地をめぐっては、基地建設にあたって防衛省・米軍が行った約束が次々に破られ、反故にされるという事態が相次いでいる。2018年5月15日には、ドクターヘリの運航時に米軍レーダーが停止しなかったという事件が発生した(不停波問題)。その件について防衛省は、緊急ヘリ運航時に「要請を受ければ米軍レーダーを速やかに停波する」という2014年10月23日の無条件停波の合意を反故にし、「米軍の運用上やむをえない場合を除き停波する」という答弁書を国会に提出した。また、「経ケ岬通信所は防衛的なものなので攻撃の対象にはならない」という当初の説明に反して、米軍は基地を防衛するための鋼鉄製シェルター・防御壁・銃座付き監視塔の設置を計画し、昨年11月には関西各地から自衛隊を動員した基地防護訓練までが実施された。それ以外にも、基地建設二期工事での土曜工事の恒常化、米軍属の集団居住・集団通勤の約束の不履行など、枚挙にいとまがないほどである。今回の事態もまた、そのような防衛省・米軍の約束破りの一環である。こんなことが許されるのであれば、防衛省・米軍からどんな約束をとりつけても意味がなくなる。

 

私たちは、住民の安全・安心を守るという地方自治体の責務に関連して、以下の諸点について京都府の見解を求める。

 

① 岩屋防衛相は、事故の報告について「明確な合意があったとは承知していない」と述べたが、2014年12月8日の第二回安安連において、近畿中部防衛局の桝賀政浩企画部長(当時)は「知りえた情報はただちに関係自治体に通知する」と約束しており、それは2014年12月9日の毎日新聞(丹後版)で報道されている。近畿中部防衛局は、以降の安安連においても「加害・被害を問わず事故内容を報告する」と表明してきた。また、安安連の規約では「地域住民の安全と安心を確実に実現することが大前提に求められており、我々はあらゆる努力を行うと誓う」と定められており、住民の求めに応じて安安連に事故情報が報告されてきた。これらからして、岩屋防衛相のこの表明は事実とまったく異なる。京都府としてこの誤りを近畿中部防衛局に指摘し、桝賀企画部長(当時)が行った約束の存在を再確認するように要求するつもりはあるのか。

 

② 米軍関係者のすべての事故の情報を報告することは、交通事故の抑止と再発防止、住民の安全・安心の確保にとって不可欠の前提である。これまでから安安連の場で、住民が事故情報の詳細な報告を求めてきたのは、米軍関係者の事故の余りの多さとともに、米軍人・軍属が日米地位協定によって特権的な地位が保障されているからであった。第19回安安連で宇川連合区長は、具体的な米軍関係者の事故の例を紹介しつつ、「事故の具体的な内容がわかることで対策が取れる」として、事故情報の報告の継続を求めた。3月19日の防衛省表明によって、周辺の住民は大きな不安を抱いていると推測できる。京都府として、防衛省に対して住民説明会の開催を要請し、住民の不安に真摯に向き合うことを要求すべきではないか。

 

③ 岩屋防衛相は、「重大な事故であるかどうかは第一義的に米軍が判断する」と述べたが、これは到底受け入れられないものである。日米地位協定では、公務中の米軍関係者の第一次裁判権は米軍にあるが、公務中以外の米軍関係者の第一次裁判権は日本側にある。「重大な事故」であるかどうかの判断をすべて米軍にゆだねることはまったく筋が通らないことである。米軍・防衛省が事故情報を開示しなくとも、京都府警・京丹後警察署は事故の詳細を把握しているはずである。京都府として警察に問い合わせ、事故の詳細を把握し、すみやかに開示することを迫っていくという自治体としての独自の努力を行うべきではないか。

 

④ 第19回安安連には、京都府の代表も参加している。しかし、京都府として近畿中部防衛局の表明に対する態度は何ら明らかにされていない。住民の安全・安心を確保するという地方自治体としての責務にもとづき、近畿中部防衛局の表明の撤回、加害・被害を問わず事故内容を詳しく公表することを継続すべきだと防衛局に申し入れるつもりはあるのか。

 

 

▼2014年12月9日 毎日新聞 

(2019年3月11日)

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三崎政直 京丹後市長 様

 

申し入れ書

 

        2019年3月11日

米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会

京都市上京区四番町121-5

TEL/FAX 075-467-4437

 

 日々のご活動に敬意を表します。京丹後の米軍Xバンドレーダー基地(米軍経ケ岬通信所)が運用を開始してから4年余が経過しましたが、昨年から今年にかけて、住民の安全・安心を脅かすような事態が連続してきました。私たち京都連絡会は、住民の安全・安心と米軍基地は両立しないこと、そして東アジアの平和への流れのなかで戦争のための軍事基地はいらないという立場から米軍基地の撤去をあらためて要求するとともに、以下の諸点について申し入れます。

 

1.米軍人・軍属の交通事故の情報を米軍が開示しないという事態が続くなかで、それに京丹後市として厳しく抗議し、事故情報の開示を強く迫ること。昨年7月27日、峰山町菅で米軍関係者の車輌が電柱に激突、その電柱をへし折るという重大事故が発生した。しかし、この事故について米軍はいまなお事故情報を開示しないばかりか、昨年2月4日の59件目の事故を最後に、事故情報の開示そのものを停止している。それは「事故の情報は速やかに公表する」という当初からの約束を反故にし、京都府・京丹後市からの度重なる要請を踏みにじる言語道断の事態である。京丹後市として、米軍・近畿中部防衛局にあらためて厳しく抗議し、次回の安全・安心対策連絡会(安安連)において7月27日の事故情報の開示となぜ事故情報の開示が停止されているのか明らかにするように要求されたい。また、警察は7月27日の事故の直後に現場検証を行っているはずである。米軍が事故情報を開示しない状況なので、事故をおこした米軍関係者が公務中なのかちがうのか、警察として調書を作成したのかどうか、事故の原因が何であるのか、行政処分や損害賠償の処理がどうなっているのかなど、警察が把握している情報を安安連に報告するように要請してもらいたい。

 

2.ドクターヘリなど緊急ヘリの運航時に、関係機関からの要請があれば米軍レーダーを速やかに停波するとした2014年10月23日合意の完全実施をあらためて米軍・近畿中部防衛局に要求すること。昨年5月15日の米軍レーダー不停波問題の発生以降、国会で追及された防衛省は、7月17日に「回答書」を提出した。しかし、それは「米軍の運用に支障が無いかぎり」停波の要請に応じるというもので、無条件での停波を約束した2014年合意と明らかに矛盾するものであった。5月15日の不停波問題は、住民の安全・安心よりも米軍の運用が優先されるという日米地位協定のもとでの現実を鋭く示す事態であった。京丹後市として、7月17日の防衛省の「回答書」の撤回、2014年合意の完全実施をあらためて要求してもらいたい。

 

3.鋼鉄製シェルター・防護壁・銃座付き監視塔の建設など米軍基地を要塞化する計画に反対し、自衛隊による米軍基地警護訓練という名目での日米合同軍事演習の中止を要求すること。これらは、「米軍基地は防衛的なものだから攻撃の対象になることはない」という近畿中部防衛局のこれまでの説明と矛盾し、米軍基地がミサイルを含む攻撃の対象となることを想定したものである。米軍基地を要塞化し、軍事拠点として強化しても、それはますます軍事的緊張を高めるだけである。そして、米軍基地が攻撃されるならば、周辺の住民の被害は想像を絶するものとなる。京丹後市として、これらの要塞化の計画を具体的に明らかにすることを要求するとともに、それに反対してもらいたい。

 

4.約束破りの二期工事の土曜工事に抗議し、土曜工事の中止を要求すること。昨年4月からの基地建設二期工事の開始にあたって、近畿中部防衛局は「原則」として土曜日に工事は行わないと約束した。しかし、実際には土曜工事がひんぱんに実施され、防衛局のいう「原則」がいかにいいかげんなものであるかが明らかになってきた。約束破りは許されない。京丹後市として、土曜工事の中止をあらためて要求してもらいたい。

 

5.米軍基地建設の受け入れに際して、京丹後市・京都府は「住民の安全・安心の確保」が前提だとし、それが担保されない場合は受け入れ表明の撤回もありうると表明した。しかし、昨年から今年にかけての事態は、「住民の安全・安心が担保されている」とは到底言えないものである。京丹後市は、どのような事態が発生すれば受け入れ表明を撤回すると考えているのか。米軍・近畿中部防衛局は、京丹後市の「受け入れ表明の撤回もありうる」という表明について、どうせ口先だけで実際に撤回することなどありえないと見下しているとしか思えない。京丹後市として、①米軍の事故情報の開示、②2014年10月23日合意の完全実施、③米軍基地の要塞化と米軍基地警護訓練の中止、④約束破りの土曜工事の中止という要求が実施されないならば、受け入れ表明を撤回すると明らかにしてもらいたい。

 

6.最後に、2月27日・28日の第二回目の米朝首脳会談は共同文書の採択には至らなかったが、東アジアの平和への流れは継続している。朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、核実験・ミサイル発射実験の中止など非核化の意思をあらためて表明し、寧辺(ニョンビョン)の核関連施設の廃棄の用意があることを明らかにした。米国のトランプ大統領もまた、米朝首脳会談後に、毎年春に実施してきた大規模な米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」「フォール・イーグル」の廃止を表明した。紆余曲折はあろうとも、東アジアの平和への流れが途絶えることはない。このような大きな情勢の変化の下で、京丹後の米軍基地は平和への流れに逆行するものとなってきた。朝鮮半島と東アジアの平和への流れをより確固としたものにするためにも、米軍Xバンドレーダー基地は撤去されるべきである。

 

 以上、申し入れる。