2022年3月11日
京丹後市長 中山泰 様
申し入れ書
戦争につながる危険な米軍Xバンドレーダー基地の受け入れ撤回を!
住民の不安と向き合い、日米地位協定の抜本改定のために行動を!
現在進行中のロシアのウクライナ侵攻は、断じて許容できるものではなく、私たちは、ロシア軍のウクライナからの即時・無条件の撤退を求めている。同時に、軍事緊張を拡大させる欧米諸国によるNATOの東方拡大にも反対している。
ウクライナでの戦争の一刻も早い終結は私たちを含む世界の市民の願いであるが、同時に、米軍Xバンドレーダー基地(米軍経ヶ岬通信所)を抱える京丹後市があらためて考えなければならないことがある。それは、ロシアのウクライナ侵攻に際して、まず真っ先に破壊されたのがウクライナのレーダー群だったことである。また、原発も攻撃の対象にされた。
宇川地区への米軍Xバンドレーダー基地の建設に際し、それが「攻撃の対象」になるのではないかという住民の不安に対して、近畿中部防衛局は「攻撃の可能性が高まるものとは考えられない」などと回答してきた。しかし、現在のウクライナの事態は、戦争が起こればレーダーは真っ先に攻撃の対象となることをウクライナの人々の悲劇とともに示した。この点で、近畿中部防衛局の説明は明らかにまやかしであった。
いま日本国内では、ロシアのウクライナ侵攻を利用して、それを日米安保体制の強化、自衛隊の軍事態勢の強化の口実にしようとする動きがある。そうしたなかで、基地の撤去ではなく、逆に米軍Xバンドレーダーや若狭の原発の「防衛」を理由に、京丹後にPAC-3などの迎撃ミサイルが配備される危険性さえ存在している。しかし、そのような軍備強化は軍事緊張をますます拡大させ、東アジアの平和実現を阻害するものとなる。
私たちは京丹後市がこのような現実を直視し、戦争につながり、いったん戦争が起これば攻撃対象なって住民を犠牲にするこの危険な基地の受け入れを撤回することをあらためて強く要求する。
また、昨年末からの再度の新型コロナウイルス感染拡大の大きな原因のひとつが、入国前のPCR検査も実施せずに好き勝手に国境を跨いで往来してきた在日米軍の行動にあったことは明らかである。米軍Xバンドレーダー基地に所属する米軍関係者は全員入国に際して検査を実施しているとのことだが、検査を受けずに入国した米軍関係者が京丹後を行き来することもあるだろう。そもそも、米軍に対して日本の国内法の適用を免除している現在の日米地位協定のあり方がこのような事態を引き起こしているのである。
京丹後でも、今年に入って新たに米軍関係者の感染が確認されてきた。周知のように、そのなかで市民の安全を脅かす深刻な事態が起こっている。具体的には、民間病院でPCR検査を受けた米軍属数人が、居住地で結果連絡を待つようにという病院側の指示に従わず、翌日病院に直接結果を聞きに来たという問題である。その中には検査の結果陽性が判明した者もいた。米軍側は防衛局を通して「基地内での連絡ミス」といった弁解をしているが、住民軽視の現われである。米軍はまた、感染拡大防止に必要な十分な情報を保健所に対して提供していない。
このような事態を踏まえ、京丹後市は住民をないがしろにする米軍の行動を許さず、同時にその背景となっている現在の日米地位協定の一刻も早い抜本改正の実現に向けて積極的に行動すべきである。
同時に、米軍人の基地内の隊舎への入居が始まるなかで、生活排水の増加とそれによる水質汚染の可能性は、近隣住民にとっての具体的な懸念事項である。この問題について京丹後市は、定期的な水質調査とその結果の公表を米軍・防衛局に対して強く要求し、住民の懸念を取り除くために行動すべきである。
沖縄では米軍基地に由来する有機フッ素化合物(PFAS)汚染が問題となっている。また、日本だけでなく米軍基地の存在する地域では基地内に貯蔵された有毒物質に起因する環境汚染が深刻な問題となっている事例が数多くある。京丹後だけは例外だと言うことは決してできない。それゆえ京丹後市は、人々の命と健康、環境を守る観点から、米軍基地をめぐる状況を厳しく監視していかねばならない。
また、頻繁な発電機の稼働による低周波騒音被害など、住民の「安全・安心」を脅かす事態がいまも繰り返し起こっている。この問題を解決しなければならない。米軍関係者による交通事故の公表の在り方についても、より全面的な開示を要求していくことが必要だ。
上記を踏まえ、あらためて以下の点を申し入れる。
一、発電機の夜間稼働の停止など、地域住民の「安全・安心」を脅かす事態に対して、これをとめるために京丹後市としてさらに強力に行動すること。
一、基地からの排水の問題について、地域住民の不安・懸念に真摯に対応し、定期的な水質調査とその結果の公表を、米軍・防衛局に対して強く働きかけていくこと。
一、各地での米軍基地による深刻な環境汚染の現実に鑑み、米軍Xバンドレーダー基地に関して京丹後市としてその状況を調査し、必要な対策を実施すること。
一、米軍関係者の交通事故情報について、引き続き米軍・防衛省に対して全面開示を要求し、より十分なものにすること。
一、日米地位協定の抜本改正に向けて、京丹後市として具体的・積極的に行動すること。
一、攻撃の対象となり、東アジアの軍事緊張を拡大する米軍Xバンドレーダー基地の受け入れを撤回すること。
米軍Xバンドレーダー基地反対・京都連絡会
共同代表 大湾宗則 白井美喜子 上岡修 仲尾宏 瀧川順朗
連絡先 京都市上京区四番町121-5 大湾方 TEL/FAX 075-467-4437
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